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映画『海街diary』感想 奇跡のキャストで紡ぐ4姉妹の絆と成長

  • 2020年5月4日
  • 2020年11月27日
  • 邦画

なんだろう、このやさしい読後感。
映画だから、読後感はおかしいかもしれないけど…
でもやっぱりそんな気持ちになりました。

それはきっとこの映画が、登場人物ひとりひとりの気持ちをやさしく丁寧に、そして繊細に紡いでくれているからでしょう。

登場人物の心の機微を映すかのように
江ノ電、古民家、湘南の海
そして鎌倉の四季が
一枚一枚ページをめくるように
寄り添うように映し出されていきます。

注目は、綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、今や全員主役を張れる人気女優の4姉妹。

もちろん豪華共演という意味でも注目されますが、それよりも適材適所といいますか、逆にいい意味で豪華さを感じさせないところに是枝監督の力を感じます。

それぞれが等身大の役としてそこに存在する。悩み、苦しみ、ぶつかり合い、そして理解し、許していく…。

きっと多くの女性は4姉妹の誰かに自分を見つけることでしょう。

原作は累計280万部突破の大ベストセラーコミック。

様々な家族の形、絆を描き続ける是枝監督が、ぜひ映像化したいと切望し、自ら脚本を書いて映画化した作品です。

家族って、厄介ですよね。

誰よりも大切で愛しているはずなのに、なかなか素直になれない。
余計なことを言ってしまったり、逆に言うべきことが言えなかったり…

特に親子ってめんどくさい。

家族と過ごす時間が増えて、余計にそんなことを感じている人もいるかもしれませんね。

家族のこと以外でも、ひとりで何かを抱えてしまっている人。

真面目で一生懸命なんだけど、ちょっと不器用で、自分を押さえて苦しんでしまっている人。

この作品はそんな人に観てもらえると、救われるというか、一歩踏み出す勇気をもらえるんじゃないかなと思います。

あなたのそばに寄り添って、やさしく語りかけてくれる映画『海街diary』。

では、魅力あふれる4姉妹を紹介していきましょう。

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映画『海街diary』感想 奇跡のキャストで紡ぐ4姉妹の絆と成長

異母妹の四女・すず…広瀬すず

この映画の魅力は、なんといっても広瀬すずちゃんの瑞々しさでしょう。

原作でも同じ名前のすず役を、とても自然に、そしてとても繊細に演じています。
演じているという表現がしっくりこないくらい、すずとしてそこにいるのです。
それはまさに奇跡と言ってもいいくらい。

4姉妹の中でただ一人の異母妹。
15年前、家族を捨てて家を出た父がよそで作った子。
自分がいることで嫌な思いをしている人がいる。
どこにいても、自分はここにいていいのかと思う。

そう自分を責め続けてきたすず。

そんな難しい役を、実に瑞々しく繊細に演じています。

今の広瀬すずちゃんよりはずっと幼く、まだまだ少女という感じですが、それでも友達と遊ぶ無邪気な笑顔の中にふと垣間見える寂しさを、彼女の大きな瞳が静かに語ります。

一緒に暮らそうと言ってくれた3人の姉は皆やさしく、ずっとここにいたいと思いながら、でもやっぱりここにいていいのかなと思ってしまう。

自分は姉たちの大事な父親を奪った女の子供。

自分の存在が、姉たちに嫌な思いをさせているのではないかと、つい言葉を選んでしまう。

そんなすずの心を察して長女の幸が連れてきてくれたのは、かつて父と一緒に見た風景に似た高台だった。

そこで、これまで抑え込んでいた自分の思いを叫ぶ。
姉たちの前では決して口にできなかった、今は亡き母親のこと。
本当はもっと一緒に居たかった。

「お母さんのばかやろう」と、叫ぶ。
父が愛した鎌倉の空に、叫ぶ。

そして「ここに居ていいのかな」とずっと思い続けてきたすずが、初めて「ここに居たい」と口に出して、姉の腕の中で号泣する…。

どうしようもなく、本当にどうしようもなく、心が揺さぶられます。

しっかり者の長女・幸…綾瀬はるか

長女の幸を演じるのは綾瀬はるかさん。

父に続いて母も再婚して家を出てしまい、育ててくれた祖母も他界した後は、一家の大黒柱として家を守ってきた幸。

子供のころから学級委員タイプでしっかり者と言われてきたけど、彼女を取り巻く環境が、いやでも彼女をしっかり者にしてしまったのでしょう。

誰かに甘えることができなかった子供時代。
だからこそ、同じように自分の気持ちを抑えて生きてきたすずに、自分を重ねて見てしまうのでした。

綾瀬はるかさんの印象は、どちらかというと天然というか、マイペースでおっとりしたイメージでしたが、幸のような役もぴたりとはまります。

優等生でしっかり者と言われる人ほど、一人で抱え込み、自分を責めてしまうもの。

あれほど憎んで嫌っていたはずの親のDNAを自分の中に見つけ、結局同じことをしている自分を嫌悪する。

認めてしまえば楽になれる
認めなければ永遠に解放されない
そんなこと頭では分かっているけど
意地という不器用さが邪魔をする

だけど、だからこそ、他の人には気付かない、小さな小さな心の傷や痛みにも気づいてあげられる。

すずに鎌倉で一緒に暮らさないかと最初に提案したのは、幸。

そして、すずがここに居たいと号泣できたのも、他の誰でもない、幸の腕の中なのでした。

自由奔放な次女・佳乃…長澤まさみ

しっかり者の長女とくれば、自由奔放な次女というのはある意味定番?なのでしょうか。

それにしてもこの長澤まさみさん、女優としてのふり幅の広さは魅力的です。振り切れ方も半端ない。

最近では『コンフィデンスマンJP』など、コメディエンヌとしても素質十分

その抜群のスタイルと美貌で、シリアスからコメディまでなんでもござれとなれば、まさに鬼に金棒でしょう。

そして、そのふり幅の広さは、今回の佳乃役でも十分に発揮されています。

ダメ男ばかり好きになってしまい、上手くいかない恋愛ばかりを繰り返す。お酒が大好き。だけど仕事は銀行員と意外と固め。

性格の真逆な長女に対して何かとつっかかってしまうのは、裏を返せばそれだけ嘘がないということ。

嬉しいときは嬉しいと言い、悲しいときは悲しいと泣く。そんな佳乃だから、すずも遠慮なく心を開くことができたのでしょう。

自由奔放だけど、誰よりも素直でまっすぐに突き進んでいく。

そんな佳乃を、長澤まさみが実にチャーミングに魅せてくれます。

マイペースな三女・千佳…夏帆

長女と次女のバトルを横目に、どこまでもマイペースな千佳を演じるのは夏帆さん。

下の子特有の、姉たちを冷静に分析してバランスよく立ち回る千佳は、両親と一緒に暮らした記憶が一番少ない。

家のカレーといえば、姉達にとっては母親が作ったシーフードカレーだけど、自分にとってはおばあちゃんが作ってくれた、ちくわカレー。

だから、自分たちを捨てて出ていった両親に対するわだかまりも案外少ない。年齢が近いせいか、すずも千佳とは一番話しやすそうだ。

「お父さんの記憶って、あんまりないんだよね」という千佳に、すずは父が釣り好きだったことを話す。

釣りが趣味の自分の中に、父の姿を見たような気がして微笑む千佳の笑顔に、観ているこちらも思わず頬が緩みます。

4人姉妹のほかに、リリーフランキーさん、樹木希林さんなど是枝組の常連に加え、家を出た3姉妹の母親役に大竹しのぶさん、幸の恋人役に堤真一さんなど、ベテラン陣の味のある演技にも注目です。

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『海街diary』感想・まとめ~家族を捨てた父が、のこしてくれた家族

この映画の副題は「家族を捨てた父が、のこしてくれた家族」

父に捨てられた3人姉妹と、父が残した異母妹。

鎌倉での一年を通して、ゆっくり、そしてしっかり紡いできた4姉妹の絆。

ラスト、海辺で波と戯れる妹を見守る3人の姉たちの眼差しは、まるで宝物を見守る母のように、やさしく、温かい。

「お父さん、ホントダメだったけど、優しい人だったのかもね。だって、こんな妹をのこしてくれたんだから…」

自分たちにとって、かけがえのない存在となった妹を見ていると、父に対するわだかまりも、まるで砂浜に書いた絵が波に洗われて消えていくように、ゆっくり、ゆっくりと消えていく…。

書いては消え、書いては消え…でもそうやって人は成長していくのかな、とも思う。

4人の姉妹がそれぞれ新しい一歩を踏み出していく。

海の街で流れる、奇跡のようにやさしく温かい時間。

ぜひ、ゆっくりと味わってください。

最後に、全編に流れる菅野よう子さんの音楽もまた、優しさにあふれて、絶品です。

鎌倉の四季と優しい音楽に癒されたい人にも、ぜひおすすめします。

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『海街diary』
2015年製作
配給:東宝、ギャガ
原作:吉田秋生
監督・脚本:是枝裕和
鎌倉に暮らす長女・幸、次女・佳乃、三女・千佳の香田家3姉妹のもとに、15年前に家を出ていった父の訃報が届く。葬儀に出席するため山形へ赴いた3人は、そこで異母妹となる14歳の少女すずと対面。父が亡くなり身寄りのいなくなってしまったすずだが、葬儀の場でも毅然と立ち振る舞い、そんな彼女の姿を見た幸は、すずに鎌倉で一緒に暮らそうと提案する。その申し出を受けたすずは、香田家の四女として、鎌倉で新たな生活を始める。(映画.comより抜粋)

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