若い娘さんを子供に持つお父さんに朗報です!!
最近娘との会話が減ったな~と思ったら、映画『帝一の國』をぜひ御覧ください。
娘さんとの会話が弾むこと間違いなしです!!
なぜか?理由はふたつ。
ひとつ目は、今をときめく若手人気・実力派俳優が勢揃いだからです。
例えば主演の菅田将暉さん…名前ぐらいは見たことありますか?
「カンダマサキ」ではありませんよ。それでは聖子ちゃんの元旦那になってしまいます。
「スダマサキ」と読みます。覚えておきましょう。
他にも竹内涼真、千葉雄大、志尊淳、野村周平…と、お父さん世代にはちょっとピンとこなかったり、なんて読むの?といった名前もあるかもしれませんね。
でも皆さんいずれも、これからの映画界、芸能界を背負っていく方たちばかりです。
もちろんその実力はこの映画の中でも十分に発揮されています。論より証拠、観ればきっと驚かれるでしょう。
そして二つ目は、この映画が、男なら誰でも持っている(持っていた?)「野心」や「野望」を描いた作品だからです。
いくら娘と距離を縮めたいと思っても、自分自身が楽しめない内容の映画では観ていて辛いものです。
でもご安心ください!
この映画は、我々中年お父さん世代にもぴったりとはまる要素が満載なのです!!
『帝一の國』感想~「少年ジャンプ」の流れを汲む、同名コミックの実写版
本題に入る前に、お父さん世代に基礎知識として押さえておいてほしいことがあります。それは、この映画が古屋兎丸(フルヤウサマル)氏の同名コミックの実写版だということ。そして連載は集英社「ジャンプSQ.19」と「ジャンプスクエア」だということです。
「ジャンプ」といえば、我々中年お父さん世代にとっては「週刊少年ジャンプ」でしょう。
1968年創刊で、「ど根性ガエル」や「侍ジャイアンツ」「マジンガーZ」などはテレビアニメとしても放送されていましたね。「こち亀」は40年も続く作品でしたし、「北斗の拳」や「キャプテン翼」には皆熱狂していました。男の子の雑誌という印象も強いですが、「Dr.スランプアラレちゃん」などは女の子にも人気がありましたね。
どの作品も、世代を超えて愛され続けています。
そしてこの『帝一の國』も、同じ「ジャンプ」の流れを汲む作品となれば、それだけで親近感が湧いてきませんか?お父さんが子供の頃はこんな作品がね…みたいな話もできるってもんです。いつもは難しい顔ばかりしているお父さんの意外な一面を、ぜひ見せてあげようではありませんか!
さて、それではそろそろ本題へと入っていきましょう。
『帝一の國』感想~菅田将暉という努力の天才
今、最も実力のある若手俳優は誰ですかと聞かれれば、私は躊躇なく彼の名前を挙げるでしょう。私が今最も注目しているのが菅田将暉さんです。
彼を初めて観たのは、2014年公開の『そこのみにて光輝く』という映画だったと記憶しています。たまたまレンタルビデオ店のお勧めコーナーにあった作品で、細かい内容は忘れてしまいましたが、主演ではなく脇役だった菅田将暉さんの演技があまりにも鮮烈で度肝を抜かれた記憶だけははっきりと覚えています。
ちょっと粗野だけど人懐っこい日雇い労働青年役。自転車にまたがってだらしなく蛇行しながら屈託なく話す彼の姿がとても印象的でした。
画面のこちら側でカメラが回っているとは思えない、あまりにも自然な演技。この人、演じてるの?それとも素なの?と本気で思ってしまいました。
そして今作品。コミックが原作の作品ですから、当然自分の好き勝手に演じられるわけではありません。原作の世界観もあります。登場人物はすでにビジュアルから何から設定済みです。役に自分を近づけなければならない。役を作り込まなくてはならないわけです。
どちらかというと感性で演じているように見える菅田さん。実際、一緒に仕事をした監督からも、感性で演じているとか、天才肌だとか、感覚で演じているから同じ演技が二度とできないとか、いろいろと言われているようですが、天才肌と言われる人こそ、実は人知れず努力しているというもの。
確かに天才肌のところもあるかもしれませんが、この『帝一の國』での赤場帝一役を観る限り、単に感性の人ではないことが分かります。役に近づき、役として生き、役として感情を爆発させることができる、唯一無二の存在だと思うのです。
粗野な日雇い労働青年から総理大臣を目指す有名私立高校生役まで違和感なく演じるきる菅田将暉。間違いなく努力の天才でしょう。
ちなみにこの菅田将暉さん、ジュノンスーパーボーイコンテストがデビューのきっかけで、初出演ドラマは「仮面ライダーW」です。戦隊モノ出身なんですね。基本情報としてこの辺り押さえておくといいかもです!
『帝一の國』感想~原作を超える完成度の俳優陣
この作品には、他にも脇を固める個性的な俳優さんが揃っています。もし原作のコミックを見る機会があれば、実写版の完成度の高さにきっと驚くことでしょう。しかも、ただ忠実に原作を再現しているのではなく、原作のキャラクターを超えて表現しているところがまた素晴らしいです。
志尊 淳(シソン ジュン)
帝一の親友で、片腕的存在の榊原光明(サカキバラコウメイ)役。「志尊淳」と名前はなかなかに男らしいですが、中世的な魅力のある俳優さんです。榊原光明も茶髪のおかっぱという設定ですが、難なくこなしています。
トランスジェンダー役で文化庁芸術祭の個人賞を受賞するなど評価が高いですが、菅田さんと同じく戦隊モノ(特急レンジャー)出身でもあります。
デビューは俳優養成所在籍中に出演した舞台「テニスの王子さま」。「テニスの王子さま」は2.5次元舞台の草分け的存在で、今でも絶大な人気があります。
竹内 涼真(タケウチ リョウマ)
明るく実直、仲間からの信頼も厚い大鷹弾(オオタカダン)役。母子家庭で小さな兄弟の面倒も見ているという苦学生の役どころを、実にさわやかに演じているのが竹内涼真さんです。
彼のことはお父さん世代でも、日曜劇場「下町ロケット」や「陸王」などのテレビドラマで知っている方も多いのではないでしょうか。若い女性だけでなく、中、高年齢層の女性からの支持も絶大です。
サッカーが得意で東京ヴェルディユースに所属していたほどの実力の持ち主。彼もまた戦隊シリーズ「仮面ライダードライブ」に主演していました。
ちなみに今作品で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞しています。
千葉 雄大(チバ ユウダイ)
彼も志尊淳さん同様に名前は「雄大」と男らしいですが、本人はベビーフェイスで優しい印象。そんな彼もやはりデビューは戦隊モノなんですね。主演を張っていましたが、出演していた「天装戦隊ゴセイジャー」は、シリーズ初の天使をモチーフにした戦隊だったところが彼らしいですね。
今作品では帝一の1学年先輩の森園億人(モリゾノオクト)役で、冷静で理知的な役どころはまさに彼にピッタリ。見た目の印象から気の弱そうな役も少なくありませんが、優しさの中に芯の強さを感じさせてくれます。個性的な脇役が多いですが、最近では主演映画もヒットしています。
[box06 title=”あわせて読みたい”]映画『スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼』 感想レヴュー[/box06]野村 周平(ノムラ シュウヘイ)
帝一を勝手にライバル視している同級生・東郷菊馬(トウゴウキクマ)役。今作品ではヒール役ですが、ムカつくヒール役を実に見事に演じています。
影がないと光も目立たないのと同様に、ヒール役が光らないと主役も光りません。そんな難しい役どころを、コミカルさも併せ持ちながら実にのびのびと演じています。
元はスノーボード選手だったそうで、身体の動きに切れを感じます。アクの強い役だけに顔の表情も大変な役ですが、身体同様、表情筋にも切れと柔軟さを感じます。
母親が中国人とのハーフのため、本人も中国語が話せるそうで、また英語と演技の勉強のため1年間ニューヨークに留学経験がある努力家でもあります。
他にも今後期待されるたくさんの若手俳優が出演しています。娘さんと一緒に気になる俳優さんで盛り上がってみてはいかがでしょうか。
番外編・吉田 鋼太郎(ヨシダ コウタロウ)
また、帝一の父親役で出演の吉田鋼太郎さんが、この作品の熱量を何倍にも引き上げてくれています。
今でこそ多くのテレビや映画、CM等で目にすることが多くなりましたが、もともとはシェイクスピア作品を専門に上演する劇団に所属されていた舞台俳優さんです。
蜷川幸雄演出の舞台にも多数参加されていて、現在は蜷川さんの後を継ぎ、さいたま芸術劇場の2代目芸術監督としても活躍されています。
『帝一の國』感想 まとめ~男なら誰でも共感する「野心」「野望」がテーマ
あなたは現在、一介のサラリーマンで、それこそ中間管理職で辟易している平凡なお父さんかもしれません。
しかしそんなあなたでも子供の頃は大きな夢、野望を持っていたはず。卒業文集の将来の夢の欄に、サラリーマンと書く同級生はいなかったでしょう。今は分かりませんが、少なくとも我々世代は、将来の夢を総理大臣と書く同級生も、クラスに一人はいたのではないでしょうか。
この『帝一の國』は、総理大臣になって自分の国を作るという野望を持った高校生・赤場帝一が、その夢を実現する第一歩として生徒会長を目指すというお話。自分の昔を思い出し、男の子目線からこの映画の面白さを娘さんに熱く語る(…いや、熱く語るとウザがられますね。そこは大人の余裕を見せてサラリと伝える)というのはどうでしょう。ほら、なかなか素敵なパパが出来上がってきたのではないでしょうか。
どうです?ちょっとワクワクしてきませんか?
この映画は基本は学園コメディーで、ところどころに奇妙キテレツな演出があり、一見するとくだらない…いやいや、ついていけない作品のように思ってしまうかもしれません。でもどうか最後までご覧ください。そこには男なら誰でも共感する「野心」や「野望」だけでなく、「友情」や「父と息子の絆」まで、熱量高く描かれています。
そしてラストに仕組まれる「どんでん返しの策士っぷり」は痛快でさえあります。こういう痛快なストーリーは、少年ジャンプ世代のお父さんにはきっとハマるはず!!
今度の休日、一緒に観ようと娘さんを誘ってみてはいかがでしょうか。そしてさらりと「菅田将暉くんってさ、こんなところが魅力的だよね」なんて言ってみてください!
娘さんの驚きと羨望の眼差しが待っていますよ…きっと…。
『帝一の國』
2017年制作
配給:東宝
監督:永井聡
脚本:いずみ吉紘古屋兎丸の同名コミックを、菅田将暉、野村周平、竹内涼真ら人気若手俳優の共演で実写映画化した学園コメディ。全国屈指のエリートたちが集まる超名門・海帝高校。政財界に強力なコネを持つこの学校で生徒会長を務めた者には、将来の内閣入りが確約されるという。主席入学を果たした1年生の赤場帝一は、総理大臣になって自分の国をつくるという夢を叶えるための第一歩として、生徒会長の座を狙っていた。2年後の生徒会長選挙で優位に立つべく誰よりも早く行動を開始した帝一は、想像を絶する命がけの権力闘争の中へ身を投じていく。「ジャッジ!」「世界から猫が消えたなら」の永井聡監督がメガホンをとり、「ROOKIES」のいずみ吉紘が脚本を担当(映画.comより抜粋)