実写版『思い、思われ、ふり、ふられ』を観て、
その映像美と、登場人物それぞれの
時に優しく、時に切なく
相手を思う気持ちに触れることができ、
とても優しい気持ちになれました。
アニメ版『思い、思われ、ふり、ふられ』も
真っ直ぐな思いを伝えるという、
ピュアで力強いものがよく表現されていました。
自分が高校生の頃にこの映画を観ていたら、
きっと高校生活がもっと豊かだったかも!
なんて思いました(笑)
残念ながらもう高校生には戻れませんが、
そんな思いにさせてくれた
映画『思い、思われ、ふり、ふられ』
実写版とアニメ版の両方を観た
(しかし、原作は未読です)
私の感想を書いてみますね。
(以下の内容には多少のネタバレを含みます)
アニメ映画『思い、思われ、ふり、ふられ』感想 朱里と由奈の対比
実写版を観て特に印象に残っているのは、
朱里(浜辺美波)
と
由奈(福本莉子)
の対比でした。
一見すると
何事にも積極的な朱里
と、
何事にも消極的な由奈。
でも本質的なところでは
朱里は繊細で
周りに気を遣いすぎてしまって
疲れてしまうタイプ。
一方の由奈は
気持ちが純粋でまっすぐなぶん、
実はとても芯の強い女の子でした。
そしてアニメ版では、
その部分がより鮮明に描かれている
と感じました。
それは
「なかったことにしてしまう朱里」
と、
「なかったことにせずぶつかっていく由奈」
の違いとして描かれているように思います。
なかったことに…朱里の場合
朱里は、
自分も含めて周りを傷つけないために、
いろいろなことを
「なかったこと」
にしようとしてしまいます。
理央からのLINEを
見なかったことに
理央にキスされたことを
なかったことに
和臣にふられたことを
なかったことに
それは一種の自己防衛のようなものですが、
今まで失ってきたことや、
失ってきたものが大きかったことに
原因がありそうです。
中でも朱里にとって一番大きいのは、
家族の存在
でしょう。
母の2度の離婚でその度に名字が変わり、
住む場所や学校などの環境が変わります。
朱里が一見積極的でしっかり者に見えるのは、
もともとそういう性格だったということも
あるでしょうが、
それよりも
そうでなければやっていけなかった
ということだと思います。
いろいろなことを
「なかったことに」
してしまうのも、
一見平気を装いながらも、
実際は、壊れてしまった家族のように、
大切なものをこれ以上壊したくない
という気持ちのあらわれです。
誰も傷つかない方法を常に探してしまう。
いつも周りに気を使って、
バランスを保とうとしてしまう。
そんな朱里は、実はとても繊細で臆病な女の子。
一見しっかりものと思われている人こそ
こういうタイプは実は多いものです。
私の周りを見ても、
思い当たる人が何人かいます。
あなたの周りにも
きっといるのではないでしょうか。
ぶつかっていく…由奈の場合
それに対して由奈は、
なかったことにせず
ぶつかっていきます。
初恋が絵本の王子様で、
今でもそんな王子様と
運命的な出会いを夢見ているような、
一見すると幼い女の子。
でも、ピュアな心というのは、
なにものにも代え難い
強さの源にもなります。
理央がいたから自分が変われた
朱里がいたから強くなれた
そう由奈は思っています。
でも本当は由奈自身が
変わりたい
強くなりたい
と思っている。
いくら周りに言われても、
自分自身がそう思えなければ
前へは進めないはずです。
朱里と由奈の家庭環境の違いも
きっとあるでしょう。
自分の気持ちをなかったことにせず
ぶつかっていく。
ふられることを分かっていても
理央に自分の気持をぶつける。
朱里のことを誤解している同級生に
朱里に謝ってと話に行く。
由奈に思いを寄せる我妻に告白されても
流されずに自分の気持を伝える。
自分の気持に蓋をして、
なかったことにできることへも
勇気を出してぶつかっていく。
本当に素敵だなと思いました。
そして、こんな子も、
学生の頃に確かにいたなと思います。
その時は、
その子の本質までは分かりませんでしたが…。
実写版・アニメ版共通の『思い、思われ、ふり、ふられ』感想 作り手のこだわり
実写版、アニメ版の両方に共通して言えることですが、
登場人物の心情を表現している風景描写
特に光と影の使い方とか
部屋のインテリアや小物など
細部へのこだわりをとても強く感じました。
雨
たとえば雨のシーン。
雨は理央の切ない心情表現として、
実写版、アニメ版ともに効果的に使われています。
アニメ版のほうは、
さらに光を含んだ雨が弾けて
輝くように表現されるところがあります。
実写版にはない、切ないだけでなく、
前向きな効果を出しています。
花言葉
また、アニメ版では季節ごとに
いろいろな花が象徴的に出てきます。
たとえば紫陽花の花言葉は
「家族」や「団欒」
ヒマワリは
「あなただけを見つめる」や「憧れ」
白クローバー(シロツメクサ)は
「私を思って」や「約束」
花言葉の意味を知っていたら、
それぞれのシーンが
もっと切なく
もっと優しく
心に響いてくるでしょう。
そんなところにも、
作り手のこだわりが感じられました。
アニメ映画『思い、思われ、ふり、ふられ』感想 まとめ
以上、
アニメ版映画「思い、思われ、ふり、ふられ」
を観て感じたことを、
実写版とも合わせて、
特に朱里と由奈にスポットをあてて
綴ってみました。
アニメ版と実写版とでは、
内容的に多少違うところもありますが、
でも、お互いがお互いを補い、高めあい、
相乗効果で内容や人物が
より鮮明になっているように感じました。
またアニメ版には声優として
浜辺美波さん
福本莉子さん
北村匠海さん
赤楚衛二さんも
学園祭のシーンで
ちょこっと参加されていますよ。
私はアニメ版を観て、
また実写版が観たくなってしまいました。
これではおそらく制作サイドの思うつぼですね…
でも素敵な映画だったので、
ぜひまた観ようと思います。
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