俳優になりたい‼︎
俳優になって多くの人に感動を届けたい‼︎
そう夢を抱いてこの世界に飛び込んでも、俳優を続けていく人はあまり多くありません。
日本では俳優は資格など必要なく誰でもなれます。自分で「私は俳優です」と言えば俳優になってしまいます。
逆に、簡単になれるということは簡単に辞めることもできてしまうということです。
よほどの心構えがないと続けていくことは難しい世界なのです。
また俳優の生活は華やかに見えますが、現実はかなり厳しい世界です。俳優だけで食べていくのはとても難しいのです。
精神的、肉体的にもかなりハードです。続けたくてもいろいろな事情で辞めざるを得ない人も少なくありません。
また、心構えはしっかりできている!やる気だけは誰にも負けない!と思っていても、気持ちだけではやっていけない世界でもあります。
そこでここでは、これから俳優を目指す人が持っておくべき心構えと、必要なスキルについてお伝えします。
あなたはなぜ俳優に?心構えの持ち方とは
私はどうしたら俳優になれるか聞かれたとき、「どんな俳優になりたいのか」(こちらを参照)と並んでもう一つ、相手に必ず聞くことがあります。それは
ということです。
俳優は「続けていくのも才能のうち」と言われます。それだけ続けていくことが難しい職業だということです。
職業としてでなく、アマチュアの社会人劇団に出演することもできますし、そういう人たちも大勢います。
ただ、私に「俳優になりたいのですが」と質問してくる人たちは、プロとして俳優になるためにはどうしたらいいかと聞いている人がほとんどでしょう。
そういう人に対して私があえて「どうしてなりたいのか」と聞かずにはいられないのかというと、その答えが「続けていく」ということに直結するからです。
有名になりたいでは続かない?
なぜ俳優になりたいのかの理由に「有名になりたい!」とか「ビッグになりたい!」「お金持ちになりたい!」という言葉をよく耳にします。「有名になって、周りのみんなを見返してやりたい‼︎」と言っている人もいました。
なぜそのように思っていたのか詳しくは聞きませんでしたが、きっと過去に何かあったのでしょう。
しかしここで考えてもらいたいのは、
ということです。
なぜ周りを見返すのに俳優なのでしよう。お金持ちになるためならば、方法は他にもたくさんあるのに…。
俳優を続けている人の共通点
私の周りでも俳優を続けている人と、途中でやめていく人がいます。
やめていく人の理由は様々ですが、その中のひとつに金銭的な理由があります。
そう、俳優で食べていくことは想像以上に難しいのです。
ほとんどの人は何かアルバイトや副業をしながら俳優をやって生計を立てています。
独身で一人暮らしの時はいいですが、結婚したり子供ができたりすると、それを機にやめていく人は少なくありません。
しかし、どんな状況になろうとも続けていける人もいます。
そういう人達の共通点は、とにかく
だということです。
心構えは「好きかどうか」
俳優を続けていくための心構え、それはずばり
ということです。
それよりも、俳優はあくまでも手段の一つで、目的は別にある、という人が少なくないように感じます。
そういう人は、演じることに楽しみを感じることができず、演じることが辛そうでさえあります。
そんな人が果たしてこの世界で成功できるでしょうか。
演じることの魅力に取りつかれ、演じることそのものを追求できる人、そこに喜びや充実感を感じられる人、そういう人たちだけが続けていくことができ、成功できるのです。
それはなぜか。
そういう人はキラキラと輝くからです。人を引き付ける魅力に溢れるからです。
ただ、これから俳優を目指そうとしている人にとっては演じることが好きかどうか分からない、と思う人もいるでしょう。
もちろんそれでいいのです。
演じることが好きかどうかを知るために養成所へ通ったり、劇団の研究生になったりすればいいのですから。
ただ覚えておいてほしいのは、有名になる手段、お金持ちになる手段、人を見返す手段…と、初めから何かの手段として俳優を目指すのはやめたほうがいいということです。
気持ちだけじゃ続かない⁉俳優に必要なスキルとは
さて、ここまでは俳優に必要な心構えについて述べてきましたが、前述したように好きじゃなければ続かないけど、しかし好きなだけでも続かないというのが俳優の世界でもあります。
俳優は使ってもらわなければ仕事になりません。つまり、ドラマにキャスティングされたり、舞台で配役されたりしなければ仕事として俳優を続けていくことはできません。
そのためにはやはり、現場で求められるスキル、技術を身につけなければなりません。
ちょうどプロ野球選手が、野球が好きだという気持ちだけでなく、投球のスキル、走塁のスキル、バッティングのスキルと、いろいろなスキルが求められるのと同じです。
では俳優に求められるスキルとは具体的にどのようなものがあるのでしょうか。
たくさんある中から、ここでは特に初心者の人に最初に意識してほしいスキルを2つお伝えします。
声というスキル
よい俳優を表す言葉として昔から「一声、二顔(二振)、三姿」という言葉があります。
芝居の世界では、良い役者の素養は「一声、二顔、三姿」と言われます。
つまり、1番大事なのは「声」で、2番目に「顔」、3番目が「姿」という意味ですね。
同じような表現で、特に歌舞伎界では「一声、二振、三男」という表現もあるのですが、
ともかく美男子であることや背格好が良いこと、
所作や立ち振る舞いが綺麗だったり上手かったりすることよりも、
発声や台詞廻し、声質などの口跡が最も重要だと言い表しているものです。
昔から俳優にとって声というのはとても重要な要素でした。


私自身、あるテレビドラマの撮影で声がいいと言われ、その後、別のドラマにキャスティングされたこともあります。
いくら音響機材が発達していても、声に響きがあるとマイク乗りが良くなりますし、声量があれば声を思い通りにコントロールするのも楽になります。
舞台、映像かかわらず、声はとても重要なスキルの一つであることには変わりません。
ネットで調べれば発声に必要な呼吸法(腹式呼吸、胸式呼吸)や声帯について書いてあるものもたくさんありますし、書籍もいろいろと出ています。
また、きちんとした発声を学びたければ、ボイストレーニングを受けるという手もあります。声専門のトレーナーのもと、あなたに必要なトレーニングを受けることができます。
声に関して言えばもう一つ、滑舌(かつぜつ)というスキルもあります。
いくら声量があっても、滑舌が悪いと何を言っているのか分かりません。
アナウンサーのような明瞭さは必要ないとしても、小さな声でも大きな声でもきちんと伝わるように、滑舌を良くしておくことは必要です。
滑舌を良くするトレーニングとして昔から有名なものに「外郎売り」(ういろううり)というものがあります。
外郎売(ういろううり)は、享保3年(1718年)正月、江戸森田座の『若緑勢曾我』(わかみどり いきおい そが)で二代目市川團十郎によって初演された歌舞伎十八番の一つである。
つまり外郎売とは歌舞伎で上演される演目の一つで
今日では「外郎売」と言えばその劇中に出てくる外郎売の長科白を指すことが多い。日本では俳優や声優などの養成所、或いはアナウンサーの研修等で暗唱、発声練習や滑舌の練習に使われている。
というもので、俳優や声優を目指すのであれば、必ずといっていいほど目にするものです。
全文を読むと5分くらいかかりますが、文の真ん中あたりは早口言葉のオンパレードなので、そこだけを抜き出して練習してみてもいいでしょう。
真似る(まねる)というスキル
学ぶの語源は真似るだというのは、おそらく聞いたことがあるかと思いますが、俳優を学ぶ上でもこの真似るというスキルはとても重要です。
そもそも俳優とは自分ではない誰かになって演技をしなければなりません。
言ってみれば、台本に書かれてある登場人物をイメージし、そのイメージに合ったしゃべり方、動き方、表情や感情を真似るとも言えます。
いくら頭の中で完璧にイメージできたとしても、それを自分の肉体を使って表現できなければ意味がありません。
上手い俳優は概して真似るのも上手です。
役作りをするときも、周りにいる人を参考に、しゃべり方や歩き方を真似てみたり、他の俳優さんの演技を真似てみたり、ということもよくします。
俳優の渡辺謙さんは若いころ、先輩の山崎努さんの真似をよくしていたと聞いたこともあります。
特にこれから俳優を目指す人にとっては、この真似るというスキルはとても重要です。
真似るスキルを身に付けるには、好きな俳優さんの演技やセリフの言い方を完全にコピーしてみる、という方法があります。
また、ダンスや日舞などを習うのも有効です。
手本の型に合わせて自分の声や体をコントロールすることは、初心者の人にはとても良い訓練になります。
※舞台の芝居を反復して学ぶために便利なサービスがあります。こちらの記事も合わせてどうぞ‼
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まとめ
以上、これから俳優を目指す人にとって必要な心構えとスキルについてお伝えしました。
好きこそものの上手なれとはよく言われますが、これは俳優にとっても同じです。
俳優こそ、好きでなければつとまらない、続けられないものだと言えるでしょう。
でも、私が知る限り、本当に演じることが好きなのかな?と思う人もたくさん見てきました。
そしてそういう人たちは、今はもう俳優を続けていません。
逆に、ずっと俳優を続けている人は、誰もが演じることが好きで、四六時中演技のことばかり考えている人たちです。
どうやったらこの役がもっと面白くなるか、もっと魅力的になるか、そのために参考になる人は身の回りにいないか、映画やドラマの登場人物で参考になる人はいないか、本や雑誌にヒントは書いてないか、観に行った舞台に参考になる人はいないか…。
そして、もしヒントが見つかれば、実際に真似をして声に出して言ってみたり、体を動かして演じてみたり…。
そんな人たちだけが俳優を続けていけるのです。
ですから私の周りにいる俳優を続けてきた人たちは、みなキラキラ輝いています。
売れてる人、まだそこまで売れてない人色々いますが、皆さん魅力的な俳優ばかりです。
あなたも本気で俳優を目指すのであれば、演じることが楽しいかどうかを基準にしながら、自分なりに必要なスキルを、今日からぜひ磨いていってください!