若い新人俳優はスーツを着る機会がそもそも少ないもの。
また俳優になる前にサラリーマン経験があり、スーツで仕事をしていました。
このような自分の経験を踏まえ、CMオーディションでのスーツの選び方、着こなし方を分かりやすくお伝えします。
【CMオーディション】なぜスーツ指定が多いのか?
俳優はスーツが苦手?嫌い?俳優のスーツ事情
しかし俳優が演じるのは、普通の、一般の人たちです。俳優はスーツを着なくていい職業ではないのです。むしろ逆に、誰よりも自然にスーツを着こなせなければならない職業と言えるかもしれません。
ベテラン俳優ともなれば、それなりにスーツを着る役も多く経験して、自然と着こなせるかもしれませんが、若手の卵さんはなかなか着こなすのが難しいものです。
【CMオーディション】スーツの選び方・着こなし方
スーツ選びのポイント、それはジャストサイズであること!
結論から言うと、スーツ選びの最大のポイントは、ジャストサイズを着ること、これにつきます。
よくある間違いは、痩せている人が、痩せていることを隠そうとして、やや大きめのサイズを着てしまうことです。
これでは逆に、痩せていることを目立たせてしまいます。
小柄な人が、実際よりも体格をよく見せようとして大きめのサイズを着てしまうのも同じです。かえって小柄であることが強調されてしまいます。
きちんと採寸してもらう
とは言っても、自分でジャストサイズを把握するのは意外と難しいものです。
特に普段スーツを着ない人にとってはかなり難しいと言えるでしょう。
なので、最初は自分で勝手に「こんなものかな」と判断せず、知識のある店員さんに採寸してもらって、相談しながら買うのがベストです。
最初は街中によくある、スーツの量販店で十分です。
値段も手頃なもので大丈夫。
とにかくサイズ命で選びましょう。
自分のサイズがはっきり把握できていないうちは、いくら安くても通販は避けたほうがいいでしょう。
ジャストサイズはややきつめ
スーツに慣れていない人は、もしかするとジャストサイズがややキツく感じるかもしれません。
でも、カッコよくスーツを着こなすには、ややキツイくらいがちょうどいいものです。
私自身も実感としては、ややキツめのほうが、見た目はカッコよく見えます。
パンツの長さはノークッションかハーフクッション
また、ジャケットだけでなく、パンツの裾の長さも要注意です。
基本的にはワンクッション、ハーフクッション、ノークッションの3つがありますが、ノークッションかハーフクッションがおすすめです。
裾の形状がダブルかシングルかも迷うところ。
ダブルのほうが生地の重みで下に引っ張ってくれるので、パンツの形がきれいに出ます。
ただ、裾丈が長いと逆に野暮ったくなりますので、ダブルの場合はノークッションがおすすめです。
ちなみにシングルはフォーマル、ダブルはややカジュアルという区別もありますが、オーディションだけを考えればどちらでも大丈夫です。
ワイシャツもジャストサイズで
また、スーツ同様にワイシャツもジャストサイズであることがとても重要です。
首周り、裄丈など、こちらもやはり自分では測れませんので、最初は専門店でしっかり採寸してもらって購入しましょう。
スーツ同様に着慣れていない人ほど大きめを選んでしまいがちです。
首周りがゆるかったり、肩幅が合っていなかったりすると、野暮ったい印象になりますので注意しましょう。
高くて良いものを長く着る?安いものを短いスパンで着る?
スーツはその素材や作りで差が出ると言われます。
その通りです。やはり高価で素材の良いものは違います。
お金が十分にあるのであれば、そういうものを着てオーディションに行くのも、ひとつの自信としてプラスになります。
ただし、まだまだ若手の、俳優の卵である皆さんにとっては、10万円以上もするスーツを買う余裕はおそらくないと思います。
でも、オーディションを受けることだけを考えて選ぶのであれば、もっと安価なもので問題ありません。
私が個人的におすすめなのは、ユニクロのスーツです。
価格は2万5千円ほどで揃えることができます。もちろんジャケットとパンツのセットで、です。
何度も言っているように、スーツはとにかくサイズです。
ユニクロのスーツは、オーダーメイド感覚で微調整が可能というのが最大の特徴です。
通販でも購入できますが、やはりしっかりしたスタッフの居る店舗で、採寸してもらいながら購入するのがベストでしょう。
スーツの流行は案外早い?
ベーシックアイテムに見えるスーツですが、やはり流行りというものはあります。
二つボタンと三つボタンの違いなどはわかりやすい例です。
もちろん数年で流行遅れということはありませんが、オーディションに行くと、いかにも一昔前のスーツだなと分かるようなものを着ている人もいます。
CMは、企業の顔となって商品を宣伝する役割を担うものです。
クライアントは当然、その人の清潔感、清涼感を何よりもまず第一に重要視します。
なんとなく古びた一昔前のスーツを着ていれば、それだけで印象が悪くなります。
繰り返しますが、オーディションだけを考えれば、決して高価なスーツは必要ありません。
その代わり、安くてもジャストサイズで、できるだけ流行遅れにならないように、定期的に買い替えるよう心がけたいものです。
【参考】私のスーツ購入履歴
私がオーディション用に初めて購入したスーツは、洋服のアオキという量販店でした。
副店長さんが対応してくださったので、知識も豊富で、何着か私の体型にジャストサイズのものを試着させてもらえました。
裾の長さも5ミリ単位で調整してくれたことを覚えています。
その後、丸井でも購入しました。こちらも専門のスタッフに相談しながら購入しました。
ウエストにアジャスター機能(ウエストの長さを調整してくれる機能)が付いていて、これは非常に便利でした。
俳優は役によって痩せたり太ったり、足の長さは変わらなくても、ウエストのサイズは変わるものです。
その時時で調整できたのは非常に助かりました。
アジャスター機能はおすすめです。
【CMオーディション】スーツと一緒に揃えるものについて
スーツと一緒に揃えなければならないものがあります。
靴、ワイシャツ、ネクタイ、ベルトについて見ていきましょう。
おすすめ革靴はtexcy luxeテクシーリュクス
スーツと一緒にまず揃えなければならないのが革靴。
こちらも高いものから安いものまでピンきりですが、私がおすすめするのはスポーツブランドのアシックスが出しているテクシーリュクス(texcy luxe)シリーズです。
おすすめするポイントは
- スニーカーのような履き心地
- コスパ最高
- それでいて天然皮革
さすがはスポーツメーカーが作っているだけあって、履き心地はスニーカーのよう。
マジで走れます。
また、革靴は靴擦れなども心配ですが、テクシーリュクスならその心配もほとんどありません。
そして嬉しい低価格。通販を利用すれば5000円以内で購入できます。
しかもこの値段で本皮使用。合皮の安っぽさはありません。
ファッションは足元からと言われますが、スーツにおいて靴はとても重要です。
本皮ともなれば、値段もそれなりにするものです。
その点、テクシーリュクスシリーズは、若い俳優さんにとっては救世主のような存在!
私自身もテクシーリュクスを知ってからは、もう何年もこのシリーズを愛用しています。
また余談ですが、舞台などで革靴を使う場合もテクシーリュクスはおすすめです。
靴底がゴムなので、滑らず、またコツコツという音もしないので、演劇公演などで使うときも非常におすすめです。
ちなみに革靴には形状によってストレートチップ、プレーントゥ、ウィングチップ、Uチップ、ローファー…など、いろいろな種類があります。
紐を通す穴の形状で、内羽根式、外羽根式などの違いもあります。
迷ったら、プレーントゥかストレートチップの内羽根式がいいでしょう。色は黒。
これはもっともフォーマルで汎用性があり、オーディションだけでなく、冠婚葬祭など、あらゆる場面で使うことができます。
テクシーリュクスシリーズには上記のようないろいろな種類が一通り揃っているので、いくつか種類を持っておくのもいいですね。
普通の革靴1足分のお値段で、3足くらい買えちゃいますから!
ワイシャツは白でシンプルなもの
先ほども少し触れましたが、ワイシャツもスーツ同様にジャストサイズが基本です。
色は白。特に指定がない場合は、オーディションではストライプがはいっていたり、ブルーやピンクなどのカラーワイシャツは避けましょう。
襟の形も実はいろいろ種類があります。
ワイド、セミワイド、ボタンダウン、スタンドカラー…などですが、こちらも基本はレギュラーカラーのものがいいでしょう。
上記で【特に指定がない場合】と書きましたが、では逆に指定がある場合とはどんな指定なのか気になりますよね。
例えば
- 固めな公務員タイプ
- IT企業の出来るサラリーマンタイプ
- フリーランスで働く起業家タイプ
などでしょうか。
それほど多くはありませんが、オーディションによっては具体的なイメージを伝えてくる場合もあります。
どの場合でも基本のアイテムで大丈夫ですが、金銭的に余裕があれば、徐々に種類を増やしていくのもいいでしょう。
カラーシャツは避けたほうが無難だと書きましたが、役の指定によってはあえてカラーシャツのほうがいい場合もあるかもしれません。
また、白シャツは気をつけないと、どうしても襟や脇の下、袖口が黄ばみやすいものです。
手入れの問題もありますが、これはある程度しかたのないものです。
ワイシャツこそ高価なものでなくていいので、定期的に買い替えることを心がけましょう。
ネクタイは2本以上
ネクタイはできれば2~3本は用意したいところです。
色は紺、赤、茶が基本となります。
柄は無地、ストライプ、小紋、ドットなどが一般的です。
太さも細めから太めまで様々ありますが、こちらもレギュラーの太さのものを選びます。
以上の点をふまえ、できれば2本くらいあると、役柄によって変化をつけることができます。
ちなみに私の場合は、紺のストライプ、赤の無地、茶の小紋の3種類を使っています。
部下を連れた会社の上司だったら茶の小紋、アナウンサーだったら紺のストライプ、お医者さんだったら赤の無地…などのように、指定された役柄に合わせて使い分けています。
ネクタイも、特に高級ブランド品である必要はありません。
自分の予算内で、一点豪華主義でなく、いくつか種類を用意することを心がけましょう。
ベルトの色は靴に合わせる
ベルトもスーツに合わせてそろえましょう。
ジーパンに使っているようなベルトではいけません。
値段的にはピンきりです。本皮の高価なものから合皮で安価なものまで様々です。
こちらは予算に合わせて用意すればいいと思います。合皮でも特に問題は無いでしょう。
ただし、合皮は本皮に比べて経年劣化が早いので気をつけましょう。
またベルトで気をつけることは、靴の色と合わせるということです。
黒の靴なら黒のベルト、茶の靴なら茶のベルト、ということです。
まずは黒の革靴を用意すべきなので、ベルトも黒になります。
おすすめリバーシブルベルト
ここで私が実際に使っていておすすめのベルトを紹介しましょう。
先ほどベルトは靴の色に合わせると言いましたが、ようは黒か茶だということです。
靴はバリエーションを増やすのに、黒だけでなくいずれは茶色もほしいところ。
そうなるとベルトも黒と茶で2本必要になりますが、1本で黒と茶の両方に対応できるものがあります。
スーツ以外でも使えますし、これ1本あれば、あらゆるシーン、服装にも対応できます。
衣装を持参しなければならないような現場でも、わざわざベルトを2本持っていく必要もありません。
また旅行の時なども便利ですね。
このようなリバーシブルベルトもいろいろなブランドから出てますので、チェックしてみるといいですよ。
靴下は黒のビジネス用 5本指ソックスもオススメです
靴下は黒で、スニーカー用の短いものは✕。きちんと足首が隠れる長さのものを選びます。
たまに、スーツなのにショートソックスを履いてオーディションに来てしまっている人もいますが、ビジネスマンとしてはあり得ないので要注意。
我々俳優は、あくまで普通の、一般的な、常識のあるサラリーマン役としてオーディションに呼ばれているので、ビジネスマンとしてマナー違反になってはいけません。
おすすめビジネス5本指ソックス
また、革靴は蒸れやすいので、気になる人は5本指ソックスもおすすめです。
タビオは靴下メーカーなので、ちょっと値は張りますが商品自体はとてもおすすめです。
おすすめつま先カバー
5本指ソックスは見た目がイマイチで気になるという人は、靴下の下に履くつま先カバーという商品もあります。
CMオーディションでのスーツの選び方・着こなし方~まとめ
いかがでしたか。
新人俳優さん向けに、CMオーディションでのスーツの選び方・着こなし方を、私の経験をもとにお伝えしました。
ポイントをまとまると
- スーツはジャストサイズを選ぶ
- そのためにもお店で知識のある店員にしっかり採寸してもらう
- パンツの長さはノークッション、あるいはハーフクッション
- 高価なものは必要ない。おすすめはユニクロのスーツ
- スーツにも流行りがある。あまり古いものは避け、定期的な見直しも
- ワイシャツは白の無地でジャストサイズのものを。はじめは採寸してもらおう
- 白ワイシャツは黄ばみやすいので、定期的な買い替えを
- 革靴でおすすめはテクシーリュクス
- ネクタイも基本的なものを2~3本用意しよう
- ベルトはリバーシブルがおすすめ
- ショートソックスはNG
と、いくつもありましたが、繰り返しますが、スーツの着こなしで最も大切なことはサイズ感です。
そして、もっともっと大切なことは、
俳優は特殊な人間を演じるのではない
ということです。
特にCMオーディションで求められるのは、一般常識のある、普通の人達です。
特殊なキャラクターが求められることももちろんありますが、それは稀なケースです。
俳優という職業そのものは、一般的な仕事ではない、特殊な職業かもしれませんが、その俳優が演じるのは普通の人達だということを忘れないでください。
そのためにも、やはり日頃から一般的な常識や知識を身につけるように努力が必要です。
今回取り上げたスーツの選び方にしても、「オーディションのため」とは言ってますが、実は一般的なビジネスマンに、普通に当てはまることばかりです。
ただ、若手俳優の皆さんは、スーツを着る機会が少ないかもしれないので、初心者でも分かりやすく、噛み砕いて、またあまりお金をかけなくてもそろえられるような情報をお伝えしました。
最後に、やはり着慣れるということも大切になってきます。
近所を散歩したり、近くのお店で食事をするだけでもかまいません。
オーディション当日に慌てて袖を通すのではなく、ビジネスマンになったつもりで、日頃からスーツを着る機会を作るようにしてみましょう。
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